リフォーム工事中は、「どこに居たらいいの? 何をしたらいいの?」と戸惑うことはありませんか?
工事を依頼する人である「施主(せしゅ)」が家に居ながら、業者にリフォームしてもらうことを「在宅リフォーム」といいます。
在宅リフォーム中は家の中を自由に動くことができず、だからと言って家を留守にして良いのかも分からず、身動きが取りづらいものですよね。人によっては、気を使い過ぎてリフォームしている所に一切立ち入らない人もいます。
しかし、在宅リフォームでは、工事中に何もしないでいると損をすることがあります。
なぜかというと、取り決めていなかった細かなところで業者の勝手な判断が入ることがあるからです。その結果、イメージと違った仕上がりになる可能性があるからです。
どういうことかというと、在宅リフォームは新築工事の時と違って、イメージ図や詳細の図面など、施主の要望を現場の作業者にしっかりと伝えるための資料がそろっていない場合がほとんどです。そのため、細かなところで施主の判断をもらった方が望ましい場面が出てくることがあります。
また、新築のときと違い古い建物を工事するので、想定外なことが起きてイメージ通りにいかないことがあります。
そういった時にも、施主が不在であったり、奥の方にずっといたりして、すぐに声をかけられない状況だと、業者によっては自分の判断で工事を進めてしまうことがあるのです。
そこでここでは、業者の判断が入ってしまう主な要因を具体的な事例を通して説明します。そして、在宅リフォームにおいて施主が損をしないために、どこにいて何をしたらよいのかをお伝えします。
業者の判断が入ってしまうリフォームの事例
まずは、業者の判断が入ってしまう主な原因について、具体的な事例を出して説明したいと思います。
たとえば、「部屋と部屋の間に窓(室内窓)」をつけて開放感を出したい場合、室内窓の取り付け位置について業者と打ち合わせをすることになります。そこで、業者に細かな寸法をきっちりと指示できる人はあまりいないものです。
たいていの場合、「窓の高さはここらへんで」や「左右の位置は中心くらいで」などといった、大まかな指示になるのではないでしょうか。部分的なリフォームの場合は、業者がその指示を受けて詳細図面を用意することはあまりありません。
室内窓を設置する部屋の形がシンプルで両方の部屋がだいたい同じ大きさであれば、大まかな指示でもイメージ通りの仕上がりになりやすいのですが、そうでない場合はイメージと実際の仕上がりにズレが生じやすくなります。
仮に、室内窓の位置について「部屋の中心で」と指示したとします。でも、次の図のように共有する壁の長さがそれぞれ違う場合、どちらの部屋を基準に考えるかで「中心」の位置が変わってしまいます。
どちらの部屋を基準にするか分かっていても、次の図のようにクローゼット(CL)が部屋の中にある場合、壁の「中心」に室内窓をつけてもクローゼットが視界のジャマをして、室内窓が「中心」からズレて見えてしまうこともあります。
この場合も、「部屋の中心」がクローゼットを含めた部屋の「中心」のことをイメージしているのか、クローゼットを含めずに見た目の「中心」のことをイメージしているのか判断が分かれてしまうことになります。
その結果、業者によってはこういった基準を勝手に判断して工事を進めてしまうことがあるのです。
また、たとえば部屋同士をつなげてひとつの大きな部屋にしたい場合、部屋同士の壁(間仕切り)を取り払ってはじめて天井や床などの高さが違うことに気付くことがあります。
事前の打ち合わせでは、天井や床を部分的に補修することしか取り決めをしていなかった場合、業者はこの段差をどのように仕上げるかを判断して工事することになります。
でも、施主のイメージは段差のないフラットな部屋だったとしたら、工事が終わってから仕上がりイメージの違いに気付き、肩を落とすことになってしまいます。「追加工事の金額によっては、部屋をフラットにつなげる工事もお願いしたのに」と、後悔することになるかもしれません。
段差が明らかになった時点で、どのような仕上がりイメージにするのかをちゃんと相談できる業者であればまだ良いのですが、それができる業者ばかりではありません。
このように、打ち合わせでは決めることができなかった細かな所が出てくるのは珍しいことではありません。なので、在宅リフォームでは業者が勝手に判断してしまう前に、ちょっとしたことでもすぐに聞いてもらえるようにしておくと、スムーズな工事につながります。
在宅リフォーム中は、できるだけ家に居る方がよい
在宅リフォームは、工事の規模が大きくなるほど、工事期間が長くなるので、施主はその間ずっと行動が制限されてしまいます。とてもストレスがたまりますよね。
「工事中でも、自由に出かけたい!」と思う気持ちは痛いほど分かります。ですが、工事中はできるだけ家にいるようにしましょう。
その理由は、先ほどの例でも触れたように、「施主(せしゅ)」のイメージと違う仕上がりになるリスクを減らすためです。そのために、細かなところでもすぐに相談してもらえるようにしておく必要があります。また、工事中に度々チェックする必要があるからです。
「施主」とは、「工事を依頼するお客様」のことです。
たとえば、キッチン上の換気扇を取り替える工事の場合、古い換気扇と新しい換気扇とで形が変わると、壁などにその跡(あと)が残ってしまうことがあります。
施主が近くにいれば、その場ですぐに施主とイメージをすり合わせて対処することができます。でも、もし施主が不在だったら、後から確認することになりますが、取り付け工事はそのまま進んでしまうことが多いです。
その結果、施主のイメージしていた仕上がりとズレてしまうことになります。
こう言うと、業者が悪質だったり、手を抜いたりすることで起こるリスクだと思われてしまうかもしれませんが、違います。たいていの業者は、決められた工期の中で、完成度の高い工事をする使命を持って取り組んでいます。
ですが、新築ではない建物の場合、劣化などにより、建物自体が時間をかけて少しずつ歪んでいる可能性があります。また、湿気の影響などで、建物の骨組みの一部が傷んでいたり、過去の手抜き工事が見つかったりと、見えないところで工事に影響が出るような想定外のことが、時にはたくさん出てきます。
そういったひとつひとつの問題が起こるたびに、手を止めて確認をしていくと、工事は遅れるばかりです。
内容の確認ばかりして工事がなかなか進まないと、施主からは「何でもかんでも聞いて、いちいちこちらの判断がないと工事が進められない業者」だと思われてしまいます。ついには、「ちゃんと工事ができるのか」と心配されてしまうことになります。
そうなる前にプロとして、「強度は大丈夫か」、「仕上がりをよくするためにどうするか」などを考えて、時には自分の判断も入れて工事を進めていこうと考えるものです。
もちろん、追加費用がかかってしまうような大きな問題が出たら、手を止めて報告するでしょう。あくまで、業者が自分の判断ですぐに解決できる問題に関してだけです。
つまり、プロとして問題解決に自分の判断を入れることは必要なことでもあります。ただ、在宅リフォームでは、部分的な工事が多いため、詳細な図面がそろっていないことがほとんどです。
このことが、業者の判断する仕上げと、施主のイメージとのズレが生まれる原因の一つとなるのです。
このように、業者の仕上げと施主のイメージにズレが出てしまうことをなるべく防ぐためにも、工事中はなるべく家にいて、度々チェックをしていきましょう。
工事中の居場所ややることはなにか
なるべく家に居た方が良いと言っても、奥の方に引っ込んで、ずっと出ないでいるのは、とても勿体ないことです。
そんな時は、できればで良いので、業者のいる部屋から近くの部屋に居るようにしましょう。何かあれば、すぐに声をかけてもらえるようにするためです。
たとえば、コンビニに行ったときのことをイメージしてください。もし、買いたいものがあるのに、店員が奥の方に引っ込んでいて、ずっと出てこなかったら声をかけづらいものですよね。
逆に、店内のどこにいても、ずっと視界にはいりつづけているのも、落ち着かないものです。
店員がレジ打ちをしていたり、棚の整理などをしていたりと、何かしら作業をしていれば気にならないのですが、何もしないで立たれていると、なんだか見張られてるように感じるものです。
同じように、部屋の奥の方にいて、ずっと出てこないと、業者はちょっとした相談のタイミングを逃しやすくなります。逆に、業者と同じ部屋にいて、ほかに何もしないで、ずっと工事を見つづけるのも、業者にとってはなかなか作業しづらいものです。
なので、「できれば」近くの部屋が良いのです。
「できれば」について、できなくても特に問題はありません。つまり、近くに部屋がない場合や、あっても物置みたいな部屋などの場合は、ムリに業者のいる部屋から離れる必要はありません。
たとえば、キッチンのリフォームで、ダイニングにしか居場所がない場合、ダイニングとキッチンが一つのつながった部屋だったとしても、リビングを離れる必要はまったくありません。
その場合はテレビを見るなり、ネットをするなり、お客様も落ち着かないでしょうが何かしらの用事をしておけば業者もそんなに気なることはありません。
仕上がりチェックのタイミングは業者の休憩時間がベスト
工事中は、家のどこに居ていいのか分かっても、やることが分からなくて困っていませんか?
人によっては、商品の運び入れを手伝おうとしたり、毎日お茶やお菓子をたくさん用意したりして、とても気をつかう方もいらっしゃいます。
でも、業者にそれほど気をつかう必要はありません。
業者が休憩するタイミングに、そっと缶コーヒーやお茶などの飲み物を出すだけで、とても喜ばれるものです。というのも、業者は休憩の時間になるとドリンクを買って休憩することが多いからです。
もちろん、お金のかかることでもありますので、飲み物を出さなくても全く問題はありません。
このことは、携帯のお店に行ったときのことをイメージすると、気持ちが分かりやすいかもしれません。
新しい携帯の機能をただ調べに行っただけなのに、店員からお茶やお菓子をたくさん渡されたり、たびたび話しかけられたりしたらどうでしょうか。サービスをたくさんして貰えるのはとてもありがたいのですが、過剰なサービスは何だか気まずくなりますよね。
このように、施主からたくさんサービスをして貰えるのは、とてもうれしくてありがたいことなのですが、業者としてはとても申し訳なく思うものです。
それは、たいていの業者が限られた時間のなかで「いい仕事をしよう」という姿勢で取り組んでいるのに、それ以上のことができないからです。
なので、休憩のタイミングをみて、飲み物をそっと出すくらいにしておきましょう。
また、このときが工事の仕上がりをチェックするのに、一番自然でよいタイミングだと思います。なぜなら、工事をしている部屋に、ごく自然に足をふみ入れることができますし、業者に話しかけるきっかけが作れるからです。
おまけに業者に喜ばれるのでオススメです。もし気をつかいすぎて、なかなか工事の状況を見ることが出来ない場合は、是非このタイミングを利用して、気になるところはないかを、じっくりとチェックしましょう。
では、いつが業者の休憩時間かというと、だいたい午前は10:00~10:30、午後は14:30~15:00になることが多いです。業者によって、また仕事の区切りのよさによっては、30分ほど前後します。
そのころを見計らって、飲み物を渡してあげるのが良いでしょう。くり返しになりますが、飲み物を出さなくても仕事の質は下がらないので、全く心配しなくても大丈夫です。
ちなみに、仕上がりをチェックする回数ですが、多くても問題ありません。むしろ心配なときは、頻繁(ひんぱん)にチェックしていくべきです。
ただし、業者が作業をしているときは、気になるところや心配なところ以外はサッとチェックする程度にしましょう。そして、とくに気になるところがなければ、業者が作業しやすい環境を優先してあげましょう。
なぜかというと、作業にはとても集中力がいるからです。
これは、料理をするときと似ています。料理をするときは、あらかじめ食材を用意して下ごしらえをしたり、野菜を切っている間に鍋を火にかけたり、できるだけスムーズに料理ができるように頭のなかで段取りを組んでおくものです。
でもその途中に、宅配便がきて料理を中断したらどうでしょうか。料理を再開するときには、段取りをちょっと忘れて、また考えなおさなくてはいけなくなります。
このことと同じように、作業がたびたび中断すると段取りがくるってしまい、工事の遅れにつながります。なので、気になるところや心配なところが特になければ、出来るだけ業者の集中を切らさないようにしてあげましょう。
でも、もし気になるところがあった場合は、その場で業者に確認をしましょう。業者が休憩に入っている場合は、休憩が終わってからすぐ聞きましょう。間違った工事だったら、すぐに修正しないといけないからです。
まとめ
いかがでしょうか、このように在宅リフォームでは、「どこにいて、何をしたらいいのか」と迷った場合は、以下のポイントを参考にましょう。
- できるだけ家にいること
- 奥の方にこもらないで、できれば工事をしている部屋から近い部屋にいること
- できるだけ工事のチェックをこまめにすること
- なかなか工事をしている部屋に行けない場合は、業者が休憩をするタイミングに合わせてドリンクの差し入れをすると良い
- 気になる所はその場で確認しておくこと
以上です。
在宅リフォームは、戸惑うことが多くとてもストレスのたまることだと思います。何をして良いのか分からず、また工事のことが心配で不安がつのりやすいものですね。
どうしても快適にとはいかないものですが、工事中のやることを少しでも分かっているだけで心の負担はだいぶ軽くなるものです。
この記事が少しでも、その助けになればと思います。